教員採用試験 の教職教養の3割は予備知識ナシでも解ける

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教採は一般の教員によって短期間で作成されることがほとんどです。

短期間で作成するためか、出題ミスをしないことに気を取られ、選択肢の作りがやや甘くなることも多いようです。そうした問題については(自分の感覚では10問に3問程度ぐらい?)、常識や日本語の語感を使って初見の内容であっても解くことができます。

今回はそうしたタイプに分類される2017年の問題から2つ紹介します。



北海道の2017年出題の問題

「生徒指導・進路指導の改善等について(通知)」(平成28年7月文部科学省)に示されている内容として適切でないものを選びなさい。

ア 推薦基準の在り方について、生徒の推薦に当たっては、非行(触法行為)等の問題行動に係る事実のみをもって機械的に判断しないこと。

イ 進路指導に関する学校の方針については、校長のリーダーシップの下、組織的に決定し、その方針については、各学校の全職員間で共有しておくこと。

ウ 推薦基準などの進路指導上の方針の重要事項については、実際に手続きを行う卒業学年開始時から、全ての生徒及び保護者に対して説明を行うこと。

エ 進路相談を行う場所については、生徒が落ちついて自ら進んで話せるような環境をつくることが必要がであること。

オ 進路指導を効果的に進めるためには、教員及び保護者間の相談並びに教員、生徒及び保護者の三者による相談が円滑に行われるよう、家庭との連携を密にすること。

 

上の問題文を読んで、「あ〜『生徒指導・進路指導の改善等について』なんて通知読んでないわ。教員養成セミナーとか読んでおけばよかった オワタ」と思う人は甘いです。この問題に関しては初見でも常識的に解答ができます。「適切でないもの」を選ぶわけですから、1文ずつ読んで、違和感があるものを探せばいいんです。

ア 推薦基準の在り方について、生徒の推薦に当たっては、非行(触法行為)等の問題行動に係る事実のみをもって機械的に判断しないこと。 

→悪さしたことがあってもそれですぐダメとするなってことね。まぁいいかな

イ 進路指導に関する学校の方針については、校長のリーダーシップの下、組織的に決定し、その方針については、各学校の全職員間で共有しておくこと。

→これもいいんじゃね

ウ 推薦基準などの進路指導上の方針の重要事項については、実際に手続きを行う卒業学年開始時から、全ての生徒及び保護者に対して説明を行うこと。

 

→…?全員に説明するのはいい。でも卒業学年開始時=3年生になってから進路の話を始めるの?1年から説明してたほうがよくね?変だな。多分これが適切でないやつだろう。



エ 進路相談を行う場所については、生徒が落ちついて自ら進んで話せるような環境をつくることが必要がであること。 

→まぁそりゃそうだよね

オ 進路指導を効果的に進めるためには、教員及び保護者間の相談並びに教員、生徒及び保護者の三者による相談が円滑に行われるよう、家庭との連携を密にすること。 

→まぁそうだよね。連携を密にして悪いことはありませんからね。

ということで、初見でもウを選ぶことができると思います。もったいないのは、「あ、この通知初見だわ、解けそうにない」とか時間がなくて文章が読めないような場合です。常識的に浮いている選択肢を選ぶ作業ですからちゃんと文章が読めれば正答できるのです。この問題に関しては予備知識は必要ありません。



続いて愛知県のローカル問題から1題。 

(愛知県2017年の問題)

次は、「愛知県特別支援教育推進計画(愛知・つながりプラン)」(平成26年3月 愛知県教育委員会)の一部を基にしたものである。( a )〜( c )内に当てはまるものを語群から選びなさい。

本件の特別支援教育をめぐっては、特別支援学校の( a )による教室不足や長時間通学の問題、幼児児童生徒の障害の重度・重複化、多様化への対応、また、幼稚園・保育所、小中学校、高等学校等に在籍する( b )の可能性のある幼児児童生徒への適切な支援・指導の在り方など、さまざまな課題への対応が求められています。

こうした課題を総合的にとらえ、( c )な視点に立った本県における特別支援教育推進の方策を検討し、今後の指針となる「愛知県特別支援教育推進計画(愛知・つながりプラン)」を策定しました。

「すべての子どもへの適切な支援・指導の充実をめざして」というサブタイトルには、教育に携わるすべての人が共生社会の形成に向けて、子どもたち一人一人の教育的ニーズを正しく理解し、障害のある子にも障害のない子にも適切な支援・指導をこれまで以上に行うことができるようにという願いを込めています。

【( a )の選択肢】 学校数の増加、学校規模の過大化

【( b )の選択肢】 発達障害、虐待被害

【( c )の選択肢】 短期的、中・長期的

 

はい、じゃ穴の前後の文をみていきましょう。

「〜特別支援学校の( a )による教室不足や長時間通学の問題、〜」

この( a )に

・学校数の増加

・学校規模の過大化

のどちらが入るかですが、学校数の増加で教室不足や長時間通学の問題って変ですよね?学校が増えたらそれらは解決する方向に向かうはずです。一つの学校でやるべき仕事が増えた結果、対応する生徒の数が増えて教室不足や長時間通学の問題、となっているはずですから「学校規模の過大化」が正しいに決まっています。



次。

「〜また、幼稚園・保育所、小中学校、高等学校等に在籍する( b )の可能性のある幼児児童生徒への〜」

この( b )に

・発達障害

・虐待被害

のいずが入るかですが、今そもそも特別支援教育の話をしているので虐待被害の話がでるのは唐突すぎです。ということで発達障害が入るにきまっています(なお、特別支援学校には通常の小中学校等への発達障害への対応など専門的アドバイスをするなどの”センター的”役割があることは、知識として知っておくべきことです)

次。

「こうした課題を総合的にとらえ、( c )な視点に立った本県における」

この( c )に

「短期的」または「中・長期的」

 のどれが入るかですが、愛知県が本気出して”短期的”計画をするわけがないですよね。正解は中・長期的です。

今回は勉強していなくても解ける問題を2つだけ紹介しました。上のような選択肢が甘い作りの問題は全国の自治体でいくらでも探すことができます。

教採受験者には、今回紹介したような「勉強していなくても解ける問題」が混ざっていることを踏まえて試験に臨んでほしいと思います。ぱっと見て初見だと思っても常識や日本語の語感で正答できたり、選択肢を2つにまで絞れたりすることはよくあることなのです。「勉強してきた知識で処理できる問題」と、「その場で常識や日本語力を使って解ける問題」ともに解答し、合格に必要な点数を積み上げられるように頑張ってほしいと思います。

今回はここまでです。

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