[21/50]教員の服務、職務上の義務が3つと身分上の義務が5つ

服務に関する知識は多くの自治体で頻出事項である。面接試験でも聞かれる可能性があり、また、現場入りしてからも必ず必要な知識になるので確実に頭に入れておきたい。

服務とは、公務員がその勤務に服するにあたっての義務や制限のことで、大きく「職務上の義務」と「身分上の義務」の2つに分けることができる。

まず、「職務上の義務」は以下の3条文で定められているもの。筆記試験対策としては、これら条文の表現にも慣れておきたい。

職務上の義務

  1. [服務の宣誓]
    職員は、条例の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。(地方公務員法第31条 )
  2. [法令等及び上司の職務上の命令に従う義務]
    職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。(地方公務員法第32条)
  3. [職務に専念する義務]
    職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。(地方公務員法第35条)

服務の宣誓は、憲法等各種法規を遵守し、これから公務員としてちゃんと仕事やりますという宣言。条例で定めるので、細かいことは自治体で異なりますが、書面の形が多いはず。
法令等や職務上の命令に従うのは、やはり公務員なので法令守るのは当然、それから組織の一員として上から振られた仕事はちゃんとやれということです。
職務に専念する義務も、要は勤務時間はちゃんと仕事しろってこと(仕事中に私的なことをしている場合は、この条文をもとに処分される場合があります)。
ただどれも組織で働く上では当たり前のことばかりで、要するに「ちゃんと仕事やれ」ということです。この3つを「職務上の義務」と言ってます。受験生はパッと頭から出せることが大事。

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続いて身分上の義務。これは勤務時間以外のプライベートの時間ことにも及びます。信用失墜行為の禁止と秘密を守る義務(以下表の上2つ)については表現まで慣れておきたい。政治的行為の制限以降(以下表の下3つ)は、内容を理解しておけば十分で、条文を暗記するような対策は必要ない。

身分上の義務

  1. [信用失墜行為の禁止]
    職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。(地方公務員法第33条)
  2. [秘密を守る義務]
    職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。(…以下略…)(地方公務員法第34条)
  3. [教育公務員の政治的行為の制限]
    公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については、当分の間、地方公務員法第三十六条の規定にかかわらず、国家公務員の例による。
    2前項の規定は、政治的行為の制限に違反した者の処罰につき国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百十一条の二の例による趣旨を含むものと解してはならない。(教育公務員特例法第18条)
  4. [争議行為等の禁止]
    職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。(…以下略…)(地方公務員法第37条)
  5. [営利企業への従事等の制限・兼職及び他の事業等の従事]
    職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。(…以下略…)(地方公務員法第38条)
    教育公務員は、教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事することが本務の遂行に支障がないと任命権者(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第三十七条第一項に規定する県費負担教職員(以下「県費負担教職員」という。)については、市町村(特別区を含む。以下同じ。)の教育委員会)において認める場合には、給与を受け、又は受けないで、その職を兼ね、又はその事業若しくは事務に従事することができる。(…以下略…)(教育公務員特例法第17条)

信用失墜行為は職全体の不名誉になるようなことをするなと。秘密を守る義務は、「芸能人の〇〇の子供が勤務校にいて…」「来週の入試問題では〇〇が出題される」…などその仕事をしていたからこそ知り得た内容を漏らしてはいけないこと。この2点はとくに説明がなくても、常識的に理解できるものだろう。
政治的行為の制限については、一般の地方公務員であれば、所属する自治体の区域外の政治的活動がOKであるが、教育公務員は全国どこでもダメということで、"国家公務員"並みの制限ということになっている。教員等は子どもに影響を強く与える立場ということもあり、ある程度政治的活動に制限を設けたい意図がある。
争議行為はストライキのこと。条文内の怠業はサボタージュ(サボること)。日本は、公務員のストライキ権を認めない立場をとっており、その姿勢が明示された条文と言える(参考:国際人権規約 社会権規約第8条(ストライキ権の原則的付与)を保留)。
営利企業への従事等の制限も、公務に支障がでる可能性があることから、制限が設けられている。

以上、職務上の義務3つ・身分上の義務5つということでよくおさえておこう。

では演習。

演習問題

地方公務員法に照らして、次の文の正誤判定をせよ。
(1) 信用失墜行為の禁止や秘密を守る義務などは、いずれも職務を遂行するに当たって守るべき職務上の義務にあたる。
(2) 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないが、法令による証人、鑑定人等となる場合は、任命権者の許可の有無にかかわりなく、職務上の秘密に属する事項を発表しなければならない。
(3) 教育公務員は、所属する地方公共団体の区域外において地域政党の役員となることはできるが、当該地方公共団体の公の選挙において投票するよう勧誘運動をすることはできない。

解説

今回はここまで!お疲れ様でした。

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