第3章 チーム学校による生徒指導体制
3.1 チーム学校における学校組織
3.1.1 チーム学校とは 略
3.1.2 チーム学校として機能する学校組織
中央教育審議会答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」(平成27年12月)において、チーム学校とは、「校長のリーダーシップの下、カリキュラム、日々の教育活動、学校の資源が一体的にマネジメントされ、教職員や学校内の多様な人材が、それぞれの専門性を生かして能力を発揮し、子供たちに必要な資質・能力を確実に身に付けさせることができる学校」と定義されています。そのような「チーム学校」を実現するためには、次の四つの視点が必要になります。
第一に、「教員が教育に関する専門性を共通の基盤として持ちつつ、それぞれ独自の得意分野を生かし」チームとして機能すると同時に、「心理や福祉等の専門スタッフを学校の教育活動の中に位置付け」、教員と専門スタッフとの連携・協働の体制を充実させることです。
第二に、「『チームとしての学校』が機能するためには、校長のリーダーシップが必要であり、学校のマネジメント機能をこれまで以上に強化していくこと」が求められています。そのためには、「主幹教諭の配置の促進や事務機能の強化など校長のマネジメント体制を支える仕組みの充実を図る」ことが不可欠です。校長がリーダーシップを発揮し、学校の教育力を向上させていくためには「副校長の配置や、教頭の複数配置、事務長の配置など、校長の権限を適切に分担する体制や校長の判断を補佐する体制の整備によって、管理職もチームとして取り組むこと」が重要です。
第三に、「教職員がそれぞれの力を発揮し、伸ばしていくことができるようにするためには、人材育成の充実や業務改善の取組を進めることが重要」であり、教職員の専門性を高め、それを発揮するための環境を整備することが求められます。具体的には、教員が持てる力を発揮できるように、「校務分掌や校内委員会の持ち方、業務の内容や進め方の見直し、教職員のメンタルヘルス対策等に取り組む」ことが重要です。
以上の三つの視点に加え、「チーム学校」が機能するための第四の視点として、教職員間に「同僚性」を形成することが挙げられます。これら四つの視点から生徒指導体制を構築することにより、「児童生徒一人一人の発達を支える取組を組織的に進める」生徒指導が可能になります。
つまり、学校がチームとして機能するためには、教職員同士(教員のみならず事務職員や学校用務員、SC、SSW等も含む)はもとより、教職員と多職種の専門家や地域の人々が連携・協働して教育活動を展開することが求められます。しかし、知識や経験、価値観や仕事の文化の違う者同士が関係性を築いていくのはそれほど簡単ではありません。専門性に由来するそれぞれに特有の文化やものの見方をお互いに理解し、考え方や感じ方の溝を埋めることが必要になります。そうでないと、教職員と多職種の専門家等との連携・協働が、かえってメンバーにストレスを生じさせることにもなりかねません。したがって、学校を基盤としたチームによる連携・協働を実現するためには、教職員、多職種の専門家など、学校に関係する人々に次のような姿勢が求められます。
① 一人で抱え込まない
一人でやれることには限界があります。一人で仕事をこなさなくてはという思い込みを捨てて組織で関わることで、児童生徒理解も対応も柔軟できめ細かいものになります。
② どんなことでも問題を全体に投げかける
些細なことでも、学年会や校務分掌の会議、職員会議、ケース会議等に報告し、常に問題を学年全体、学校全体として共有する雰囲気を生み出すことが大切です。
③ 管理職を中心に、ミドルリーダーが機能するネットワークをつくる
トップダウンのピラミッド型組織ではなく、情報の収集と伝達を円滑に進めるためのネットワークを学校の内外につくることが求められます。その際、連携した行動の核となる司令塔(コーディネーターの役割を果たすミドルリーダー)の存在があってはじめて、役割分担に基づく対応が可能になります。学校規模、学校種、地域性などの実情に応じて、一人でなく複数の教職員(例えば、副校長・教頭、生徒指導主事、養護教諭など)が「コーディネーターチーム」として連携の核になるという方法も考えられます。
④ 同僚間での継続的な振り返り(リフレクション)を大切にする
思い込みや独善を排するためには、常に自分たちの考えや行動を自己点検する必要があります。しかし、一人で内省的に振り返りを行うことには限界があります。同僚の教職員間で継続的に振り返りを行うことで自身の認知や行動の特性を自覚することができ、幅広い他者との協働が可能になります。
3.2 生徒指導体制 略
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