今回は「性行不良による出席停止」について扱う。
前回の記事でも述べたように、義務教育諸学校の児童⽣徒へは、停学の懲戒処分ができない。しかし、懲戒という観点からではなく、「他の児童⽣徒の義務教育を受ける権利を保障する」という観点から、「性⾏不良による出席停⽌」を⾏うことができる。まず性行不良とは何を表すのか、これは次の条文に規定されている。
学校教育法第35条
市町村の教育委員会は、次に掲げる行為の一又は二以上を繰り返し行う等性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる。
① 他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為
② 職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為
③ 施設又は設備を損壊する行為
④ 授業その他の教育活動の実施を妨げる行為
まぁどれも周囲にワルさを働く行為である。こういった「性行不良」であることと、そして「他の児童生徒の教育の妨げがある」2つの条件が満たされる場合に、出席停止を行うことができるのだ。
では具体的な手続きの説明にうつる。公立の義務教育諸学校における、性⾏不良による出席停⽌は「市町村の教育委員会」が権限をもち、次のような⼿続きで⾏われる。
まずは保護者からの意見を聞き、その上で「理由・期間」を記した文書で、保護者に対して出席停止を命じる。出席停止の命令は「市町村の教育委員会」から「児童生徒の保護者」に対して行われることに注意しよう。また、出席停止の期間については、具体的には決まってないが、運用上は「可能な限り短い期間となるよう配慮する必要がある」とされる(出席停止制度の運用の在り方について(通知))。
さらに、出席期間中の教育について。出席停止でも教育を受ける権利があるため、学習に対する支援を行う必要がある。出席停止期間が終われば、出席停止は解除される。なお、出席停止期間中の当該児童生徒の状況によっては、(予定より早めに)出席停止を解除することもできる(同通知)。
では、演習。
演習問題
各種法令・通知に照らして、次の文の正誤判定をせよ。
(1) 校長は、性行不良であって、他の児童・生徒の教育に妨げがあると認める児童・生徒の保護者に対して、その児童・生徒への懲戒として出席停止を命じることができる。
(2) 出席停止とは、児童・生徒の教育を受ける権利に関わる措置であることから、3日以内とするものと定められている。
(3) 区市町村の教育委員会は、他の児童・生徒の教育を妨げることはないものの、施設又は設備を損壊する行為を繰り返し行う性行不良の児童・生徒がいる場合には、その保護者に対して、当該児童・生徒の出席停止を命じることができる。
解説
今回は以上。おつかれさまでした。
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