今回は虐待への対処について。
児童虐待防止法に、児童虐待の例として、次の4つが示されている。それぞれの種類の名称は筆者が補っている。
児童虐待の防止等に関する法律第2条(児童虐待の定義)
この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
- (身体的虐待)①児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
- (性的虐待)②児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
- (ネグレクト)③児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
- (心理的虐待)④児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
いろいろな事件に対応する形で虐待の例示種類が増えてきた歴史がある。特に④の心理的虐待のように、子どもに直接の暴力でないものも虐待となることに注意しておきたい。
次に、虐待の疑いがある児童生徒を発見した場合の通告先について。通告については、児童委員(民生委員を兼ねている、地域の福祉的な仕事をするボランティア)を介して行うこともできる。
児童虐待の防止等に関する法律第6条第1項
児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。
通告先をまとめると「市町村」、「福祉事務所」、「児童相談所」の3つとなる。市町村には通告を受け付ける窓口が用意されており(虐待センターなどの名称のところもあるし、児童課などの部署が担当する場合もある)、そこで児童虐待の通告を受ける。福祉事務所(社会福祉法第14条)や児童相談所(児童福祉法第12条)は主として都道府県が設置する機関である。
では演習。ある。福祉事務所が抜けやすいので気をつけたい。また、出題される際には、教育委員会・保健所・警察署などが誤りの選択肢として登場することが多い。
演習問題
各種法律に照らして、次の文の正誤判定をせよ。
(1) 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを児童委員を介して区市町村教育委員会又は都道府県教育委員会に通告しなければならない。
(2)児童虐待とは、保護者から直接児童に向けられた暴力等の行為であり、児童の目前で配偶者に対す る暴力が行われることは、児童虐待に含まれない。
解説
今回はここまで。お疲れ様でした!
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