人事に関する言葉として、「任命」の説明をする。「任命」には次の採用、昇任、降任、転任の4つがある。
地方公務員法第17条第1項
職員の職に欠員を生じた場合においては、任命権者は、採用、昇任、降任又は転任のいずれかの方法により、職員を任命することができる。
「採用」は新しく現場に入れる人を決めること、「昇任」「降任」は、教諭から主幹教諭、あるいはその逆、のように上位の職・下位の職に変わること。「転任」は、教員から教育委員会事務局への移動のように、別の職へ変わることを意味する。
任命のうち、「校長の採用」と「教員の採用および昇任」については次の法律に基づいて行われる。
教育公務員特例法第11条
公立学校の校長の採用(現に校長の職以外の職に任命されている者を校長の職に任命する場合を含む。)並びに教員の採用(現に教員の職以外の職に任命されている者を教員の職に任命する場合を含む。以下この条において同じ。)及び昇任(採用に該当するものを除く。)は、選考によるものとし、その選考は、大学附置の学校にあつては当該大学の学長が、大学附置の学校以外の公立学校(幼保連携型認定こども園を除く。)にあつてはその校長及び教員の任命権者である教育委員会の教育長が、大学附置の学校以外の公立学校(幼保連携型認定こども園に限る。)にあつてはその校長及び教員の任命権者である地方公共団体の長が行う。
いろいろな状況をまとめて表現した条文でやや記述が複雑だが、ポイントは2つ。
まず、「競争」試験ではなく、「選考」試験で行われることだ。「選考」とは、競争試験以外の能力の実証に基づく試験(地方公務員法第17条の2)とされるが、イメージとしては、ペーパーテストの優劣のみではなく、面接などの結果も活かし、広い・総合的な視点から選ぶというニュアンスを持つ。なお、一般的に夏に行われることの多い、いわゆる「教員採用試験」は、正確には「教員候補者・選考試験」である(採用のための候補者を選考するための試験)。
2つ目のポイントは、選考の主体が「教育長」であること。なんとなく教育委員会だろ、という感じがするが、選考するのはトップの人が、ということになっている。
そして選考が終わったあと、最終的に採用を決定して教育委員会から「任命」される。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律
第34条 教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の校長、園長、教員、事務職員、技術職員その他の職員は、この法律に特別の定めがある場合を除き、教育委員会が任命する。
第37条第1項 市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)第一条及び第二条に規定する職員(以下「県費負担教職員」という。)の任命権は、都道府県委員会に属する。
上の第37条に関わる話で、いわゆる「県費負担教職員」については次回の記事で扱う。ここでは「教育委員会」から任命という、フワッとした感じで抑えてもらいたい。
では演習。
演習問題
各種法令に照らして、次の文の正誤判定をせよ。
(1) 公立学校の校長の採用並びに教員の採用及び昇任は、競争によるものとし、その競争試験は、その校長及び教員の任命権者である教育委員会の教育長が行う。
(2) 教育公務員特例法では、公立学校の校長の採用並びに教員の採用及び昇任は、選考によるものとし、その選考は当該学校を設置する地方公共団体の長が行うとされている。
(3) 公務員は、一般職と特別職とに分けられており、教員は一般職とされているが、校長は、その責任の重要性から特別職として任用されている。
解説
今回は以上。おつかれさまでした。
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