学習指導要領(H29告示)で最低限押さえておくべきこと【教員採用試験対策】

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教員採用試験に向けて、平成29年度告示の学習指導要領で最低限おさえておくべき内容を示します。

 

「生きる力」と「確かな学力」って何か言えますか?

 「生きる力」は平成10年の学習指導要領で登場した概念で、これからの時代を生きる子どもたちに必要な力のことで、「確かな学力」「豊かな人間性」「健康・体力」の三つから構成されるもの、とされています。

また、このうち「確かな学力」という言葉は当初は「知識や技能に加え、学ぶ意欲や、自分で課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力など」と説明が長く覚えにくかったのですが、時間が経って以下の3つの要素からなる、という説明が主流になりました。これらは学力の三要素などと呼ばれ、平成20年に改正された学校教育法あるいは今回の平成29年度告示版学習指導要領の総則にも記載されている内容です。

確かな学力の三要素

◯基礎的な知識及び技能

◯思考力、判断力、表現力

◯主体的に学習に取り組む態度

まとめると、「生きる力」を構成する一つが「確かな学力」であり、さらに「確かな学力」は「基礎的な知識及び技能」「思考力、判断力、表現力」「主体的に学習に取り組む態度」の三要素からなるのです。

資質・能力3つの柱とは何か

新しい学習指導要領では、以下の図で3つの方向性を示しています。3つの方向性とは以下の通りです。

学習指導要領3つの方向性

何ができるようになるか

何を学ぶか

どのように学ぶか(=ここで強調されているのがいわゆる「主体的・対話的で深い学び」です)

このうち、「何ができるようになるか」についてをまとめたものが「資質・能力3つの柱」なのです(下図の大きい三角形の上に対応する小さい三角形)。

資質・能力3つの柱

◯生きて働く知識及び技能の習得

◯未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力

◯学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性の涵養

この「資質・能力3つの柱」というのは、先ほどの「確かな学力の三要素」と非常に似通っています。学習指導要領の解説を見てみましょう。

資質・能力の三つの柱は、学校教育法第30条第2項や第1章総則第1の2(1)に示された要素(→確かな学力のこと)と大きく共通するとともに、確かな学力に限らず、知・徳・体にわたる「生きる力」全体を捉えて、共通する重要な要素を示したものである。

(小学校学習指導要領解説(平成29年告示)総則編, P36。ただしカッコ(  )内はブログ主が追記した)

要するに、資質・能力の3つの柱はこれまでの「確かな学力」を広い視点から整理し直したものなのです。ですから「確かな学力」と「資質・能力3つの柱」をバラバラに考える必要はないのです。

(ここまでの復習)

以下の穴埋め質問に答えられますか?答えられなければ上記の記事を読み返してみてください。

Q1.「生きる力」はどんな要素から構成されますか?

「確かな学力」「(           )」「(             )」

Q2.学校教育法第30条にある「確かな学力」の三要素とはなんですか?

◯基礎的な(           )

◯思考力、(    )、表現力

◯(           )に学習に取り組む態度

Q3. 新しい学習指導要領の方向性3つを以下の表現で答えなさい。

何が(      )か

何を(    )か

(       )か→主体的・(        )で深い学び

Q4.「資質・能力3つの柱」とはなんですか?

◯生きて働く(            )の習得

◯未知の状況にも対応できる思考力・(           )・表現力

◯学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・(         )の涵養

具体的にどの条文のどこが出やすいの?

学習指導要領に関する問題は、上記で扱ったキーワードに慣れておけばある程度回答可能ですが、資料の文章そのものにも慣れておかないと解けない問題もあります。

しかし、資料の文章量は膨大ですので、ここにその全文をコピペして「全部覚えて下さい」というのでは意味がありません。そこで、全体像を押さえ、出題されやすそうなところのみに絞って覚えたほうがよいでしょう。

学習指導要領は校種別に、以下のような構成になっています。

 

全校種で共通問題として出題頻度の多い箇所は「前文」「総則」「特別の教科 道徳」「総合的な学習の時間」「特別活動」です。そこで、これら以外の箇所は削ってしまおうと思います。

これら残された内容について、「きょうさい対策ブログ」では以下のように4つのパーツに分けて整理をすることにしました。

 

2018年実施の全国の実施問題などを参考にして、パーツごとに特に押さえておくべき箇所を選びました。以下の内容を学習できる動画シリーズがYouTubeのこちらの再生リストに用意されています。

以下の文章はすべて小学校のものになります。

①学習指導要領前文

(part1/3)

 教育は,教育基本法第1条に定めるとおり,(                    )を目指し,平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期すという目的のもと,同法第2条に掲げる次の目標を達成するよう行われなければならない。

1 幅広い知識と教養を身に付け,(         )を求める態度を養い,豊かな情操と道徳心を培うとともに,健やかな身体を養うこと。

2 個人の価値を尊重して,その能力を伸ばし,(             )を培い,自主及び自律の精神を養うとともに,職業及び生活との関連を重視し,勤労を重んずる態度を養うこと。

3 正義と責任,男女の平等,自他の敬愛と協力を重んずるとともに,(                )に基づき,主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与する態度を養うこと。

4 生命を尊び,自然を大切にし,環境の保全に寄与する態度を養うこと。

5 伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに,他国を尊重し,国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

(part2/3)

 これからの学校には,こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつつ,一人一人の児童が,自分のよさや可能性を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重し,多様な人々と(           )しながら様々な社会的変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓ひらき,(                         )の創り手となることができるようにすることが求められる。このために必要な教育の在り方を具体化するのが,各学校において教育の内容等を組織的かつ計画的に組み立てた教育課程である。

 教育課程を通して,これからの時代に求められる教育を実現していくためには,よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し,それぞれの学校において,必要な学習内容をどのように学び,どのような(                )を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら,社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという,(                       )教育課程の実現が重要となる。

(part3/3)

 学習指導要領とは,こうした理念の実現に向けて必要となる教育課程の基準を(              )に定めるものである。学習指導要領が果たす役割の一つは,公の性質を有する学校における(                )を全国的に確保することである。また,各学校がその特色を生かして創意工夫を重ね,長年にわたり積み重ねられてきた教育実践や学術研究の蓄積を生かしながら,児童や地域の現状や課題を捉え,家庭や地域社会と協力して,学習指導要領を踏まえた教育活動の更なる充実を図っていくことも重要である。

 児童が(                       )を実感できる環境を整え,一人一人の資質・能力を伸ばせるようにしていくことは,教職員をはじめとする学校関係者はもとより,家庭や地域の人々も含め,様々な立場から児童や学校に関わる全ての大人に期待される役割である。幼児期の教育の基礎の上に,中学校以降の教育や生涯にわたる学習とのつながりを見通しながら,児童の学習の在り方を展望していくために広く活用されるものとなることを期待して,ここに小学校学習指導要領を定める。

②学習指導要領 道徳

(part1/3)

<第1章 総則内 道徳教育目標> 

    学校における道徳教育は,特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)を要として学校の(                     )を通じて行うものであり,道徳科はもとより, 各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて,児童の発達の段階を考慮して,適切な指導を行うこと。

 道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,自己の(            )を考え,主体的な判断の下に行動し,自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる(             )を養うことを目標とすること。

 道徳教育を進めるに当たっては,(                 )の精神と生命に対する畏敬の念を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,豊かな心をもち,伝統と文化を尊重し,それらを育んできた我が国と郷土を愛し,個性豊かな文化の創造を図るとともに,平和で民主的な国家及び社会の形成者として,(                       )を尊び,社会及び国家の発展に努め,他国を尊重し,国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓く主体性のある日本人の育成に資することとなるよう特に留意すること。

(part2/3)

<第3章第1節「特別の教科 道徳」の目標>

第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,よりよく生きるための基盤となる(             )を養うため,道徳的諸価値についての理解を基に,自己を見つめ,物事を多面的・多角的に考え,(                    )についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,実践意欲と態度を育てる。

(part3/3)

<第3章第3節「指導計画の作成と内容の取扱い」重要部分の抜粋>        

2 第2の内容の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

 (1) 校長や教頭などの参加,他の教師との協力的な指導などについて工夫し, (                           )を中心とした指導体制を充実すること。

 (2) 道徳科が学校の(                     )を通じて行う道徳教育の要としての役割を果たすことができるよう,計画的・発展的な指導を行うこと。特に,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育としては取り扱う機会が十分でない内容項目に関わる指導を補うことや,児童や学校の実態等を踏まえて指導をより一層深めること,内容項目の相互の関連を捉え直したり発展させたりすることに留意すること。

4 児童の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し,指導に生かすよう努める必要がある。ただし,(           )などによる評価は行わないものとする。

  

③学習指導要領 総合的な学習(探究)の時間、特別活動

(part1/2)

<総合的な学習の時間 目標>

    探究的な(                 )を働かせ,横断的・総合的な学習を行うことを通して,よりよく課題を解決し,(                  )を考えていくための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

(1) 探究的な学習の過程において,課題の解決に必要な(                    )を身に付け,課題に関わる概念を形成し,探究的な学習のよさを理解するようにする。

(2) 実社会や実生活の中から(        )を見いだし,自分で課題を立て,情報を集め,整理・分析して,まとめ・表現することができるようにする。

(3) 探究的な学習に主体的・(            )に取り組むとともに,互いのよさを生かしながら,積極的に社会に(          )しようとする態度を養う。

(part2/2)

<特別活動 目標>

 集団や社会の形成者としての見方・考え方を働かせ,様々な集団活動に自主的,(              )に取り組み,互いのよさや可能性を発揮しながら集団や自己の生活上の課題を解決することを通して,次のとおり資質・能力を育成することを目指す。

(1) 多様な他者と協働する様々な集団活動の意義や活動を行う上で必要となることについて理解し,(                  )を身に付けるようにする。

(2) 集団や自己の生活,(                   )の課題を見いだし,解決するために話し合い,合意形成を図ったり,意思決定したりすることができるようにする。 

(3) 自主的,実践的な集団活動を通して身に付けたことを生かして,集団や社会における生活及び人間関係をよりよく形成するとともに,自己の生き方についての考えを深め,(                 )を図ろうとする態度を養う。

 

④学習指導要領 総則

(part1/3)

第1章総則 

第1節 「(小学校)教育の基本と教育課程の役割」の2(1)  

    基礎的・基本的な(                     )を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な(                               )等を育むとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かし多様な人々との(           )を促す教育の充実に努めること。その際,児童の発達の段階を考慮して,児童の言語活動など,学習の基盤をつくる活動を充実するとともに,家庭との連携を図りながら,児童の(               )が確立するよう配慮すること。

(part2/3)

第1章総則 

第2節「教育課程の編成」の 3(2) 授業時数等の取扱い ア

  各教科等の授業は,年間(       )週(第1学年については 34 週)以上にわたって行うよう計画し,週当たりの授業時数が

(           )の負担過重にならないようにするものとする。ただし,各教科等や学習活動の特質に応じ効果的な場合には,夏季,冬季,学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含め,これらの授業を特定の期間に行うことができる。

(part3/3)

第1章総則 

第3節「教育課程の実施と学習評価」の1主体的対話的で深い学びの実現に向けた授業改善(1)

 第1の3の(1)から(3)までに示すことが偏りなく実現されるよう,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら,児童の(                       )で深い学びの実現に向けた授業改善を行うこと。  

    特に,各教科等において身に付けた知識及び技能を活用したり,思考力, 判断力,表現力等や(                  )力,人間性等を発揮させたりして,学習の対象となる物事を捉え思考することにより,各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方(以下

「(                     )」という。)が鍛えられていくことに留意し,児童が各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら, 知識を相互に関連付けてより深く理解したり,情報を精査して考えを形成したり,問題を見いだして解決策を考えたり,思いや考えを基に創造したりすることに向かう(           )を重視した学習の充実を図ること。

  

こちらの再生リストから、上記の①〜④ごとに分けられれた学習指導要領の対策動画を見ることができます。

以上、学習指導要領の最低限のまとめでした。少しでも何かの参考になれば幸いです。

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