いろいろ動物が出てくる理論です。
ソーンダイクの試行錯誤説
空腹のネコを柵付きの箱(この箱を「問題箱」といいます)の中へ入れ、外側に餌をおいておく。箱の中にはひもがあり、それを引くことで柵が開く仕組みになっている。ネコははじめのうちは餌に手を伸ばしたりするが、そのうち偶然にひもに手が触れて柵が開くことを知る。その経験を繰り返すことで箱に入れられてから出るまでの時間が短くなる。このように試行錯誤を通して学習が成立するということから、ソーンダイクは試行錯誤説を提唱した。
スキナーのオペラント条件づけ
ソーンダイクと同様の実験を、スキナーはネズミで行っている。ネズミが入った箱(スキナー箱)の中にはレバーがあり、それをネズミが押すことで餌を食べることができる仕組みになっている。経験によってレバーを押すことと餌が出てくることが結びつき、ネズミがレバーを押す頻度が高まる。このような学習をオペラント条件付けという。オペラント条件付けでは、学習者の行動が自発的であることに注意しよう。
なお、オペラント条件付けは、「パブロフのイヌの実験」に代表される、それまでの刺激と反応を機械的に結びつける「古典的条件付け(レスポンデント条件付け)」とは区別される。
ソーンダイクの試行錯誤説、スキナーのオペラント条件付けなどは、ともに外界の刺激との反応の間に連合(結びつき)が生じることで学習が成立する考えのことで、「連合説」と呼ばれる。
次に刺激と反応の単なる結びつきではなく、刺激の受け止め方や意味づけが変わることで学習が成立するとする立場の「認知説」から2つ紹介する。
ケーラーの洞察(どうさつ)説
ケーラーは、チンパンジーを檻に入れ、檻の外にあるバナナをどのようにとるのか観察した(知恵実験)。チンパンジーに課せられた課題は、手元の短い棒を使って、檻の外にある長い棒を引き寄せ、その長い棒によってバナナを引き寄せるという多少複雑なもの。チンパンジーは試行錯誤をずっと続けるのではなく、しばらくどのようにすればバナナを手に入れられるのかを考た上で、それらの手順をこなした。つまり試行錯誤を繰り返して偶然成功するのではなく、その場全体の状況を把握して、見通しをもって行動したのである。
このように、試行錯誤によらず、全体の状況から思考することによって学習がすすむという考え方を洞察説という。
トールマンの認知地図
トールマンはネズミを用いた迷路学習の実験を行った。ネズミはゴール地点に餌が置かれていない状態でも迷路を走るという経験を通して認知地図を作り上げており、いったん餌が置かれると、その地図を思い出しながら迷路を素早く走り抜けてゴールにたどり着くことができる。このことからトールマンは、学習は刺激と反応の連合ではなく、目的と手段が結びつく関係であると考えた。
では演習。
演習問題
次の文の( )に適する人物名を、次の選択肢の中からそれぞれ選べ。
(1) ( )は、環境により強化された行動は次第に発生頻度が増加し、環境により弱化された行動は次第に発生頻度が減少するといった、周囲の環境条件が生物の行動を決定するという考えに基づく「オペラント条件付け」の組織的な研究を行った。レバーを押すと給餌される仕掛けを備えた実験装置を使って、ラットやハトの行動形成過程である強化のスケジュールの詳細な研究を進めた。
(2) チンパンジーに天井から吊るしたバナナを取る問題を課したところ、突然、そばにあった箱を踏み台にしてバナナを手に入れた。( )はこのような問題解決行動は、問題場面に対する認知構造を転換することによって可能となるのであり、場面全体の見通しを獲得することであると説明した。
(3) ( )は、簡単な留め金のついた箱に空腹のネコを入れ、ネコがどのようにこの箱から脱出することを学習するかを観察し、試行錯誤でさまざまな行動を行なっているとき、ある行動の後にすぐさま望ましい結果がもたらされれば、その行動が選択的に強められると考えた。
(4) ( )は、迷路学習の研究において、報酬に至る経路を学習したネズミが、その経路をふさがれたとき、別の経路を選択した行動を見出したことから、ネズミは出発地と目的地を含む空間全体を学習しているとして、これを認知地図と名付けた。
(5) ( )は、人間の行動の形成、変容、発達に、社会的諸条件が果たしている役割を重視し、社会的学習理論を提唱した。社会的学習理論は外的直接的強化による学習よりも、模倣による意図的学習を重視している。また、人間がボボ人形に暴力を働いている映像を見た子供は、人間がボボ人形に愛情をもって接している様子を見た子供よりも、ボボ人形に対して攻撃的になることを明らかにした。
【選択肢】スキナー、ソーンダイク、ケーラー、トールマン、バンデューラ
解説
今回は以上!
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