[18/50]多くの公立小中教員、服務監督は市町村教委だが任命権者は都道府県の教委

ここでは、いわゆる「県費負担教職員」について説明する。

A県にある(政令指定都市などではない)フツーの市、B市があったとしよう。このB市が設置する小学校、つまりA県B市立小学校に、C先生が配属されるとする。このとき、C先生を任命するのは誰か?→→→→これは、「A県教育委員会」である。C先生は「B市教育委員会」から服務監督を受ける立場になるが、任命を受けるのは「A県教育委員会」である。

これは、「A県教育委員会」がC先生の給与負担をしていることに強く関係している。C先生が、いわゆる「県費負担教職員」と呼ばれる。本来は、学校を設置したのはB市なのだから、B市(教育委員会)がC先生の給与出すべきではある。しかし、教員の給与はかなり金額が大きく、財政的に苦しい小規模の市町村では十分な対応ができない可能性があるため、給与負担は都道府県の教育委員会が担当することになっている。

公務員の世界に限らないが、基本的には、給与を負担するところが、任命する権利を持つことが多い。カネを出しているところ(=A県教育委員会)が、口も出せる(=任命できる)ということだ。前記事で扱った条文をもう一度見てみよう。

地方教育行政の組織及び運営に関する法律(再掲)

第34条 教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の校長、園長、教員、事務職員、技術職員その他の職員は、この法律に特別の定めがある場合を除き、教育委員会が任命する。
第37条第1項 市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)第一条及び第二条に規定する職員(以下「県費負担教職員」という。)の任命権は、都道府県委員会に属する。

確かに、県費負担教職員の任命権が、都道府県教育委員会にあると書かれている(なお、上の条文内では、「教育委員会」は「委員会」と表記されている。脱字ではないので念のため)。その他、参考として都道府県教育委員会・市町村教育委員会の役割分担を示した図を示しておく。

ここからは「県費負担教職員」とならない場合も確認しておく。政令指定都市と呼ばれる、"スーパー"な市の場合だ。この指定都市については、都道府県が給与負担するのではなく、市自身が給与負担者である。"スーパー"な市だから、都道府県が支えなくても自分たちで給与負担できるだろ、ということ。結果として、任命権もその市がもつことになる。指定都市の場合は、県費負担教職員のようなねじれはなく、制度的にすっきりした構造になる。

演習問題

次の文の正誤判定をせよ。
(1) すべての市町村立学校の教諭の任命権は、当該市町村教育委員会に属し、都道府県立学校の教諭の任命権は、当該都道府県教育委員会に属する。
(2) 市町村立小学校の設置者は、その設置する学校を管理し、教職員の給与や施設、設備の維持など、その学校の経費の全額を負担しなければならない。

解説

今回は以上。お疲れ様でした。

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