2015年より、教育委員会制度が新しくなっています。例えば役職のことでいえば、かつて委員長と教育長でどっちがトップなの?と分かりにくかったのですが、現在は教育長がトップであるということが明確になっています。この他にも総合教育会議の設置などいろいろと変化があります。こちらの資料がわかりやすいので一読しておくとよいでしょう。
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2015/02/04/1349283_04.pdf
地方公共団体の長は、教育基本法第十七条第一項に規定する基本的な方針を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱(以下単に「大綱」という。)を定めるものとする。
大綱というのは知事が教育に関わることができるように、ということで作られた側面もあります。例えば神奈川県では「かながわ教育大綱」という形で作られています。ホームページを確認する感じ、一応大綱も作っておくけれども、教育行政に関しては「教育ビジョン」を作っているのでそれでガンガンやってくれ、という感じを受けますが。
大綱を作ったりなど、知事と教育委員会が合同で行う会議が、次の総合教育会議です。
地方公共団体の長は、大綱の策定に関する協議及び次に掲げる事項についての協議並びにこれらに関する次項各号に掲げる構成員の事務の調整を行うため、総合教育会議を設けるものとする。
(省略)
2 総合教育会議は、次に掲げる者をもつて構成する。
一 地方公共団体の長
二 教育委員会
3 総合教育会議は、地方公共団体の長が招集する。
(4,5省略)
6 総合教育会議は、公開する。ただし、個人の秘密を保つため必要があると認めるとき、又は会議の公正が害されるおそれがあると認めるときその他公益上必要があると認めるときは、この限りでない。
(7~9省略)
最後に、任命と任期について。
教育長は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育行政に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。
2 委員は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化(以下単に「教育」という。)に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。
教育長、委員ともに知事が議会の同意のもと、任命ですね。続いて任期。
教育長の任期は三年とし、委員の任期は四年とする。ただし、補欠の教育長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 教育長及び委員は、再任されることができる。
教育長および委員は知事が任命することになっているわけです。また、任期については教育長は3年、委員4年です。より知事が教育行政に関与できるように、という狙いがあります。
(演習)
今回は1題だけです。
(演習1)
平成26年法律第76号による改正後の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の規定についての記述として最も適切なものを、次の①〜⑤のうちから選びなさい。(2017年実施49)
①地方公共団体の長は、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱を定めるものとする。
②総合教育会議は、地方公共団体の長及び教育委員会で構成され、教育長が招集する。
③総合教育会議は、いかなる場合も公開して行う。
④教育長は、当該教育委員会の委員である者のうちから、教育委員会が任命する。
⑤教育長の任期は4年とする。
②総合教育会議は地方公共団体の長≒知事が招集します。
③原則公開ですが非公開にする例外規定もあります。
④地方公共団体の長≒知事が、議会の同意を得て、任命します。現在の教育行政の仕組みは知事が関与しやすいものになっていることを押さえておきましょう。
⑤教育委員は4年ですが、教育長は3年となります。
今回はここまでです。