【易しめ解説46】教育基本法、家庭と社会系の条文2つ

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ここでは、家庭教育と社会教育についての2条文を扱います。

教育基本法第10条

父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

「第一義的責任」という表現は1989年国連総会で採択された「子どもの権利条約」(日本は1994年批准)にも登場しています。おそらくそちらの表現を借りてきているのでしょう。

繰り返しになりますが、第一義的責任があるのは「保護者」であり、家庭教育への支援の施策を講ずるのは「国及び地方公共団体」です。



教育基本法第12条

個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。
2 国及び地方公共団体は、図書館博物館公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない。

 

社会教育とは学校の教育課程以外の組織的な教育活動のことです。上の条文の図書館・博物館・公民館という例示は頭に入れておきましょう。

(演習)

教育基本法について2題、ついでに社会教育法について1題扱います。

(演習1)

次の文は、教育基本法の条文の抜粋である。[ア]〜[イ]に入る語句を選択肢から選べ。(2009年実施46)
父母その他の保護者は、子の教育について[ア]責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
個人の要望や社会の要請に応え、[イ]において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。
【アの選択肢】最終的、第一義的
【イの選択肢】地域、社会

(解)[ア]第一義的 [イ]社会

前半は家庭教育についての10条、後半が社会教育についての12条ですね。



次の演習2は前回扱った第1条についても含んだ内容です。

(演習2)

次の各文は、教育基本法の条文の抜粋である。文中の[ ア ]〜[ オ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、下の①〜⑤のうちから一つ選びなさい。(2011年実施46)
(1) 教育は、[ ア ]の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない。
(2) 父母その他の保護者は、この教育について[ イ ]責任を有するものであって、生活のために必要な[ ウ ]を身に付けさせるとともに、[ エ ]を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
(3) 国及び地方公共団体は、[ オ ]の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の[ オ ]を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
【アの選択肢】人間、人格
【イの選択肢】重大な、第一義的
【ウの選択肢】学力、習慣
【エの選択肢】創造力、自立心
【オの選択肢】学校教育、家庭教育

(解)[ア]人格 [イ]第一義的 [ウ]習慣 [エ]自立心 [オ]家庭教育

上でまったく扱っていませんが社会教育法に関する出題にここで触れておきます。直感で解いてみて、答えを見てふーんそうなんだ程度で頭に入れておけばいいと思います。

(演習3)

社会教育法の条文の抜粋として正しいものを、次の①〜⑤の中から一つ選びなさい。
①図書館及び美術館は、社会教育のための機関とする。
②市町村が公民館を設置しようとするときは、条例で、公民館の設置及び管理に関する事項を定めなければならない。
③市町村の設置する公民館の館長、主事その他必要な職員は、教育委員会の推薦により、当該市町村の長が任命する。
④学校の長は、学校教育上支障がないと認める限り、その管理する学校の施設を社会教育のために利用に供するように努めなければならない。
⑤社会教育のために学校の施設を利用しようとする者は、当該学校の長の許可を受けなければならない。

(解)正しいのは②

①「美術館」でなく「博物館」です。教育基本法にもある通り、社会教育の対象としては図書館・博物館・公民館あたりです。美術館については博物館法の中で扱われているのですが、社会教育法の中では登場しません。

③細かい知識ですが、当該市町村の教育委員会が任命することになっています。

④放課後の施設開放などの話ですね。権限は校長ではなく「学校の管理機関」です。

⑤上の④と同様、学校の長の許可ではなく、「当該学校の管理機関の許可」です。

今回はここまでです。

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