心理学的な技術で心の負担を軽くしようとするものを心理療法といいます。今回は有名な心理療法を6つ紹介します。
アイゼンクの行動療法
行動療法は、外に現れる行動を変えることができれば、自然に心の内面にも変化が生じるという考えに基づくもので、アイゼンクによって開発されました。適切でない行動は消去し、適切な行動を強化していくことで内面に良い変化をもたらします。
フロイトの精神分析療法
フロイトの精神分析学の実践版です。精神分析学では「無意識」を重要視していましたね。
【易しめ解説07】心理学の3大派閥。精神分析学、ゲシュタルト心理学、行動主義 – きょうさい対策ブログ
そこで、精神分析療法では主に自由連想法という手段によって抑圧された記憶や幼少期の体験を浮かび上がるようにします。そうして無意識を明確化していくのです。
遊戯療法
フロイトの娘であるアンナ・フロイトらによって開発された、言語能力の発達が不十分な子どもを対象とした療法です。遊びを介して、カウンセラーとの関わりをもつ過程のなかで、偏った人間関係を修正したり、人格発達を促進したりします。
エリスの論理療法
人の行動よりも認知、つまり考え方や価値観の変化を促すことを重視した療法です。本人の非合理的な考えを合理的なものに変化させていきます。
モレノの心理劇療法
心理劇(サイコ・ドラマとも)療法は、モレノにより開発されたもので、劇という名前から察せられるように集団でロールプレイングをする療法です。役者、観客として即興的にアクションを行い、創造性と自発性をはたらかせることで新しい行動可能性を獲得します。
家族療法
治療を個人のみを対象とするのでなく、家族集団を治療の範囲として扱い、家族という関係性の中で個人の問題をとらえようとする療法です。
(演習)
3問扱います。
(演習1)
次の文章は、心理療法について述べたものである。[ ア ]、[ イ ]に当てはまる語句と人名をそれぞれ選択肢から選べ。(2012年実施43)
[ ア ]は、1950年代に[ イ ]らによって名づけられた療法である。これは、人間の不適応行動は誤った学習から生じるものと考え、あらたな学習によって不適応行動を適応行動へ変容させようとする心理療法であるとされる。
【アの選択肢】精神分析療法、行動療法、認知療法、クライエント中心療法、家族療法
【イの選択肢】フロイト、アイゼンク、ベック、ロジャーズ、クレペリン
(解)[ ア ]行動療法 [イ]アイゼンク
(演習2)
次の(ア)〜(エ)の各文のうち、心理療法について適切に述べているものを2つ選べ。(2011年実施44)
(ア)精神分析療法は、フロイトが創始した療法であるとされる。患者の夢や自由に連想した内容などから患者の無意識に焦点をあてて、心の傷の原因を調べ治療していくという方法である。
(イ)認知療法は、人間の不適応行動は誤った学習から生じるものと考え、新たな学習によって不適応行動を適応行動へと変容させようとする心理療法であるとされる。
(ウ)家族療法は、家族をひとつのまとまりをもったシステムとみなし、そのシステムがかかえる心理的な問題を治療していこうとする療法であるとされている。
(エ)行動療法は、遊びを通して子どもの心の状態をとらえ心理的な行動障害に改善をもたらすための療法であるといわれる。
(解)(ア)と(ウ)
(イ)は認知療法ではなく、行動療法の説明です。
なお、認知療法はベックという人物によって開発されていますが認知過程の歪みを治すための療法ですが、覚えなくてもOKだと思います。
(エ)は行動療法ではなく、遊戯療法の説明です。
(演習3)
次の心理療法とその主唱者の組合せのうち、誤っているものを、次の①〜⑤の中から一つ選びなさい。(2008年実施44)
①来談者中心療法ーロジャース(Rogers, C.R.)
②論理療法―エリス(Ellis, A)
③フォーカシングージェンドリン(Gendlin, E.T.)
④マイク・カウンセリングーアイゼンク(Eysenck, H.J.)
⑤心理劇(サイコドラマ)―モレノ(Moreno, J.L.)
(解)④
アイゼンクは行動療法だったよな?という知識から④を選ぶことができればよいです。③のフォーカシングはどこが問題点なのかを示すカウンセリング技法の一つですが、覚えてなくてよいでしょう。
今回はここまでです。