【解説067】学習そのものが目的…内発的動機づけ、学習と関係ないことが目的…外発的動機づけ。報酬等によって内→外の変化はアンダーマイニング効果、褒めるなどで内発的動機づけを強めるのはエンハンシング効果

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動機づけに関する話題です。

内発的動機づけ・外発的動機づけ

内発的動機づけは学習の内容そのものが面白い!とか興味がある!という状態で、最も望ましい形である。それに対し外発的動機づけは、問題を解いたらシールをもらえるから頑張ろうとか、学習の内容とは関係ないことを目的にしている状態である。

アンダーマイニング効果

内発的動機づけによって行動していたものが、報酬などによって外発的動機づけに変わってしまう現象である。ボランディアでゴミ拾いをしているひとに感謝のつもりで金銭を渡すようになると、次第にボランティアの気持ちで行っていた意識が、金銭をもらうことが目的に移るというような場合である。

次の本には、アンダーマイニング効果を含む、教員採用試験によく出る心理学用語が漫画で解説されていて面白い。興味があればどうぞ。

行動経済学まんが ヘンテコノミクス 佐藤 雅彦

エンハンシング効果

褒めるなどの外的要因が内発的動機づけを高める効果のことをエンハンシング効果という。

では演習。心理用語を具体的場面に当てはめる問題。



(演習)

次の文章は、教師の指導による生徒の学習に対する行動の変化に関するものである。(     )内に入る適切な語句を次の【語群】の中から選べ。

【語群】内発的動機づけ、外発的動機づけ、アンダーマイニング効果、エンハンシング効果

A教諭は、国語科の授業で漢字の成り立ちなどについて取り上げ、漢字の組み立てと部首の単元を指導し、様々な感じについて辞書で調べる授業を行った。
生徒Bは、授業で扱う新出の感じは授業の前に丁寧に書いて練習する習慣が定着しているが、それ以外の場面では急いで字を書くことが多くあり、書き慣れている字は、普段は他の人が読み取りにくい崩れた字体で書く。そこで、A教諭は、生徒Bに、「とめ」、「はね」、「はらい」に注意して、漢字の組み立てを意識しながら書くよう伝えた。そして、丁寧に書けた漢字に丸を付け、「今日は7個中3個がよかった。次回はもっと丸の数を増やしましょう。」と言葉を掛けながら個別の指導を継続した。その間、生徒Bは、丸の数を増やしたいと思い、書き慣れている漢字を丁寧に書くようになった。
生徒Cは、普段から漢字の構成に興味があるとともに、丁寧に書くことも定着している。A教諭は、生徒Cのクラスで、漢字を組み立てている部分は、位置によって「へん」や「つくり」、「かんむり」などに分類され、これらの部分はその漢字のおおまかな意味を表していることを個別に指導した。A教諭の指導を受けて、生徒Cは、「へん」と「つくり」などの組合せによる漢字について、辞書で調べ、まとめた。A教諭はその成果を高く評価し、そのことを生徒Cに伝えた。
授業でこの単元の指導を終えると同時に、生徒B、生徒Cに対する個別の漢字の指導も終えた。その後、生徒Bは再び急いで字を書くようになり、新出の漢字の練習を含め、全てにおいて崩れた字体で書くようになった。生徒Cは、授業で取り扱わない常用漢字以外の漢字についても興味をもち、構成や意味について調べてまとめるようになった。

以上のことをまとめると、生徒Bには、A教諭の指導をきっかけとした(    ①    )により学習効果が上がり、後に(   ②   )が現れた。生徒Cについては、A教諭の指導をきっかけとした内発的動機づけにより学習効果が上がり、後に(   ③   )が現れた。

(解)

ちょっと長い文だが、まとめると…

生徒Bは教諭Aの指導によって丸をたくさんもらえる(外発的動機づけ)ように行動が変化している。

一方の生徒Cは、教諭Aの指導によって漢字そのもに興味をもち、学習に取り組んでいる。

①→外発的動機づけ (丸をもらうために学習をしているため)

②→アンダーマイニング効果 (丸をもらうのが目的になってしまって、もらえない状況だと汚く字を書いてしまっているため)

③→エンハンシング効果 (A教諭の指導によって漢字に興味をもち、学習をすすめている=内発的動機づけが高まっているため)

今回は以上!

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