指導要領の告示後の教採では、カリキュラムの型について出題される可能性が高いです。しっかりと対策しておきましょう。
まず、教科(科目)がどれぐらいの結合度を持っているかによって教科カキュラム、相関カリキュラム、融合カリキュラムと変化していくことを知っておきましょう。
教科同士の結合度の違いによって分類教科カリキュラム
…文化遺産や学問的な客観的知識の学習こそが人間形成に最も重要であるとする伝統主義や本質主義の教育観に立って編成される教育課程
相関カリキュラム
…教科の領域はそのままで内容から見て性格的に近い教科の関連を図り、学習効果をあげるために、2教科以上の相互関連を図る教育課程
融合カリキュラム
…相関カリキュラムの考え方をさらに進めて、一部の教科・科目等を融合し、新しい教科・科目や領域に再編成した教育課程である。
上記3つの違いは、社会科目の例でイメージすればOKです。
教科カリキュラムの場合…地理、歴史、公民 ←バラバラ
相関カリキュラムの場合…地理⇄歴史⇄公民 ←関連をもつ
融合カリキュラムの場合…社会科=(地理,歴史,公民) ←もっとまとまる
なお、相関カリキュラムと融合カリキュラムの違いは微妙といえば微妙です。語句の違いで区別するのも手ではありますが、結合度の強さについて教科<相関<融合ということさえ覚えておけば教採では対応可能でしょう。
続いて、中心に何かをおいて作る教育課程を2つ。
コア・カリキュラム
…中心となる教科や活動領域を設定し、その周辺に各教科や学習者の活動を配置した同心円的構造の教育課程
経験カリキュラム
…スコープやシークエンスとして学習者の生活経験、興味、問題意識を中心とし、学問の系統の代わりに生活の系統を、教科の理論体系の代わりに現実生活の有機的体系をもって組織する教育課程
コア・カリキュラムの例で出されるのが、中心を社会科にして、周辺に他教科があるというものです。基本的には社会科を中心として学習するが、その学習上必要になった時に漢字や算数を勉強する、という要領です。
経験カリキュラムは子どもの興味や生活体験を重視し、その延長線上で教科の内容を学ぼうとするものです。一般的に体系的に教えるのには向きません。
もう一つ、ウラの教育課程とでもいうべき、次の用語を紹介しておきます。
…子供同士の人間関係、子どもと教師の関係、教室の雰囲気、教師集団のもつ雰囲気、学校の伝統や教育的風土、今日石の言葉遣いや態度など、子どもを取り巻くさまざまな人的、自然的、文化的環境要因を指す教育課程
公式の教育課程ではないのだけれども、その学校、教師、生徒の雰囲気によって作られる環境のことをいいます。
(演習)
2題扱っておきます。表現がちょっと違うだけで、ほぼ同じ問題です。
(演習1)
次の文は、教育課程(カリキュラム)について述べたものである。コアカリキュラムの説明として最も適当なものを、次の①〜⑤の中から一つ選びなさい。(2009年実施32)
①相関カリキュラムの考えをさらに進めて、一部の教科・科目等を融合し、新しい教科・科目や領域に再編成した教育課程である。教科・科目の区分によって分断された関連性の深い教育内容が、一つのまとまりとして共通の主題のもとに指導されるため、生徒が教科・科目間の壁を意識することが少なくなるといえる。
②伝達されるべき教育内容を教科・科目として整理・区分し、整然と配列した伝統的な教育課程である。教科書などを利用した教育内容の系統的な伝達がしやすい一方で、生徒の興味・関心を軽視した記憶中心の指導になりがちで、教育内容と実生活が結びつきにくいといった問題点を持つ。
③生徒の興味・関心に基づくさまざまな課題を自ら解決させることを通じて、円滑な社会生活や知識・技能の習得に有効な経験を教育内容として組織する教育課程である。
④すべての教育活動の中心となる領域を設定し、その周辺に関連領域を配置することによって教育内容全体を有機的に統合しようとする教育課程である。特定の教科を中心とする教科型と生徒の活動を重視する経験型に分けることができる。
⑤教科・科目ごとに区分された教科カリキュラムの構成と同じであるが、その内容や取り扱い方を教科・科目間で相互に関連づけることにより、教育内容の全体的な統一性を作り出そうとする教育課程である。
(解)④
①は融合カリキュラム、②は教科カリキュラム、③は経験カリキュラム、⑤は相関カリキュラムの説明である。
(演習2)
相関カリキュラムについて述べたものとして、最も適当なものを、次の①〜⑤のうちから一つ選びなさい。
①中核をもったカリキュラムである。中核をどのような内容にするかによって性格がことなる。教科型、経験型などが考えられる。
②教科の枠を取り払い、各教科の中の類似部分を融合させながら進めることを目的とする。
③各教科の独自性を保ちつつ、教科間の重複部分を排除する一方、教科間の密接な関係性を打ち立てながら授業を進めることを目的とする。
④教科・科目が相互に独立かつ並列し、それぞれの教育内容は学問体系と知識の分類に従って構成されている。
⑤教育内容を児童・生徒の生活経験や彼らの教育要求に基づいて構成する。教育内容は児童・生徒とともに考案され、時と場合によって変容されることが認められている。
(解)③
①はコアカリキュラム、②は融合カリキュラム、④は教科カリキュラム、⑤は経験カリキュラムの説明
今回はここまでです。