[45/50]学習そのものが目的…内発的動機づけ、学習と関係ないことが目的…外発的動機づけ。報酬等によって内→外の変化はアンダーマイニング効果、褒めるなどで内発的動機づけを強めるのはエンハンシング効果

動機づけに関する話題です。

内発的動機づけ・外発的動機づけ

内発的動機づけは学習の内容そのものが面白い!とか興味がある!という状態で、最も望ましい形である。それに対し外発的動機づけは、問題を解いたらシールをもらえるから頑張ろうとか、学習の内容とは関係ないことを目的にしている状態である。

アンダーマイニング効果

内発的動機づけによって行動していたものが、報酬などによって外発的動機づけに変わってしまう現象である。ボランディアでゴミ拾いをしているひとに感謝のつもりで金銭を渡すようになると、次第にボランティアの気持ちで行っていた意識が、金銭をもらうことが目的に移るというような場合である。

エンハンシング効果

褒めるなどの外的要因が内発的動機づけを高める効果のことをエンハンシング効果という。

では演習。心理用語を具体的場面に当てはめる問題。

演習問題

次の文章は、教師の指導による生徒の学習に対する行動の変化に関するものである。(     )内に入る適切な語句を次の【語群】の中から選べ。

A教諭は、美術の授業でデッサン技術向上のために、陰影の付け方や物体の形を正確に捉える方法について指導した。
生徒Bはもともと絵を描くことが好きで、自由に創作することを楽しんでいた。A教諭は「この部分の陰影がとても上手に描けていますね。」などととフィードバックを与え、さらに褒めることで生徒Bを励ました。その結果、生徒Bは褒められるために絵を描くようになり、やがて評価がない場面では絵を描くこと自体にあまり興味を持たなくなっていった。授業外では、以前のように自由に絵を描くことが少なくなった。
一方、生徒Cは、もともと絵に対する興味が強く、授業外でも自主的にスケッチや作品制作を行っていた。A教諭は、生徒Cに対してデッサンの理論や光と影の関係、構図の取り方について指導した。その結果、生徒Cは絵の理論にさらに興味を持ち、自ら美術の本を読んだり、インターネットで調べたりしながら技術を深めていった。
授業でこの単元の指導を終えると同時に、生徒B、生徒Cに対する個別のデッサン指導も終了した。その後、生徒Bは再び絵を描かなくなり、褒められる機会がなければ創作活動を行わなくなった。一方、生徒Cは、さらに絵の理論や技術を追求し続けた。

以上のことをまとめると、生徒Bには、A教諭の指導をきっかけとした(   ①    )により学習効果が上がり、後に(   ②   )が現れた。生徒Cについては、A教諭の指導をきっかけとした内発的動機づけにより学習効果が上がり、後に(   ③   )が現れた。

【語群】内発的動機づけ、外発的動機づけ、アンダーマイニング効果、エンハンシング効果

解説

今回は以上!

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