[31/50]学習理論。関連付けを重視した有意味受容学習、小分けにされた学習内容を個別で学習するプログラム学習、グループ討議と全体討議を繰り返すバズ学習

今回は学習の型に関する知識をいくつか。

有意味受容学習

まずは、関連付けを重視した有意味受容学習で、オーズベルが提唱したもの。「有意味受容」と難しい言葉で表現しているが、要するに「こどもが知っていること」に結びつけて話をしましょうということ。東京都の過去問から例を引用する。

(有意味受容学習の例)

小学校第6学年の担任であるA教諭は、国語の「読むこと」の学習において、尾括型の説明的な文章を教材として用いて、筆者の主張を把握することをねらいとした学習指導を行った。A教諭は、この学習の導入で、文章の構成や、筆者の主張が述べられている箇所を児童に把握させるために、新聞のコラム欄の短い記事を提示した。そして、この新聞記事が「序論-本論-結論」という文章構成になっていることや、「結論」部分に筆者の主張が述べられているということを説明した。その後の学習で、児童は、新たに提示された説明的な文章の構成と、先に学習した新聞記事の文章の構成とを関連付けることができ、説明的な文章の中の筆者の主張を的確に把握することができた。

ここでも関連付けが大事であるとされている。繰り返しになるが、有意味受容学習は生徒の知識との関連付け学習なのだ。

プログラム学習

プログラム学習とは、スキナーによって提唱されたもので、学習内容をできるだけ細かく分割し、児童・生徒にとって容易に、また着実に学習系列をたどれるように教材を系列化した個別の学習のこと。学習内容をできるだけ細かく分割するのは、「スモールステップの原理」が反映されたものである。

バズ学習

グループ討議と全体討議を繰り返すのがバズ学習。フィリップスが考案。バズ=buzzとは、激しく動き回るとか、蜂がブンブン飛ぶとか、騒がしい様子を表す単語。SNSなどで情報が広まって流行ることを「バズる」というが、情報が拡散して騒がしくなることからそういう表現をするのだろう。
バズ学習では集団を6人程度のグループに分けてそれぞれ6分間の話し合いを行い、その結果を持ち寄って全体討議をするという流れで進められる。当然のことながら討議中教室は(いい意味で)騒がしい状態になることからバズ学習と名付けられたようだ。

イエナ・プラン

イエナ大学教授であったペーターゼンが提唱。日本の教育システムでは多くの場合、年齢によって学級が分けられるが、その枠を取っ払い、異年齢の様々な子どもがいる集団の中で教える・教えられる両方の経験をさせる。ドイツ発祥(イエナはドイツの地名)、オランダで発展した方法。

では演習。

演習問題

次の文の(   )内に当てはまる語句を次の選択肢の中から選べ。

(1) (     )は、デューイの理論などによるもので、児童・生徒の生活で生ずる具体的問題をとらえて、それを単に理解するというのではなく、主体的に解決していく中で学び取らせる学習指導の形態ないし方法をいう。

(2) スキナーの考案したものとクラウダーの考案したものがあり、ティーチング・マシンなどによって、学習者に原則として個別学習をさせながら、事前に定めた行動目標まで確実に学習者を到達させようとする学習方法を(     )という。

(3) オーズベルにより提唱されたもので、学習すべき内容を学習者がすでにもっている認知構造(知識体系)に関連づけて学習させる学習方法のことを(     )いう。

(4)(    )とは、異年齢や特別支援を必要とする子供を含む学級を構成し、子供同士の経験によって学習した内容を身に付けさせるという学習指導の方法である。

(5) (     )とは、全体を6名程度の班に分け、共通のテーマについて自由に討議させた上で、最後に班ごとの結果を全体に発表し、共有する討議法を、学習指導に応用したものである。塩田芳久が提唱した。

【選択肢】問題解決学習、有意味受容学習、プログラム学習、完全習得学習、バズ学習、発見学習、イエナ・プラン

解説

今回は以上!

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