2. 子供たちの多様化と社会の変化
(1) これまでの学校教育における教師・教職員集団への評価
子供たちの知・徳・体を一体で育む「日本型学校教育」において、教師の役割は、学習指導のみならず生徒指導等の面でも主要な役割を担い、様々な場面を通じて、子供たちの状況を総合的に把握し、指導を行うことである。全ての子供たちに一定水準の教育を保障する平等性の観点、子供たちに対し、学校給食や課外活動なども含め広範囲にわたる全人的な教育を提供している観点から、国際的にも高く評価されてきた。一方、教師の勤務時間は OECD による調査では調査参加国の中で最長である。子供のためであればと頑張る教師の献身的な姿勢と、社会の変化や要請を踏まえ、学校の役割が拡大していく中で、教師が抱える業務も増えてきた。
(2)子供たちの多様化
既に令和 3 年答申をはじめ過去の中央教育審議会の答申等でも示しているように、特別支援学校や小・中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒、小・中・高等学校の通常の学級に在籍しながら通級による指導を受けている児童生徒は増加している。また、特定分野に特異な才能のある児童生徒の存在も指摘されている。日本語指導を必要とする児童生徒も増加し、相対的貧困状態にあるとされる子供も一定程度存在している。ヤングケアラーと言われる本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話を日常的に行っている子供たちの存在も明らかになっている。
教師一人一人が個々の児童生徒の多様な教育ニーズに対応した学びを提供するだけではなく、学校自体が、子供たちの多様性を受容でき、それに対応できる組織になっていることも必要である。
(3)Society5.0 とポストコロナ時代の新たな学び
AI やロボティクス、ビッグデータ、IoT といった技術が発展した Society 5.0時代の到来に対応し、教師の情報活用能力、データリテラシーの向上は一層重要である。時代が今後どのようなものに変わっていくのかは予測困難であるが、様々な分野で発生する予測のできない非連続的な変化が予想される。教師や学校は、こうした社会の変化に背を向けるのではなく、前向きに受け止めていくことが必要である。
一方、過去の国際的な比較では、児童生徒に課題や学級での活動に ICT を活用させている教師の割合が低いとの結果が示されている。「批判的に考える必要がある課題を与える」「明らかな解決法が存在しない課題を提示する」といった指導実践を行っている教師の割合も、他国に比べ著しく低い。
子供たちについても、数学や科学に関するリテラシーは引き続き世界トップレベルである一方、言語能力や情報活用能力、デジタル時代における情報への対応などの課題があり、子供たちのデジタルデバイスの使用について、我が国では、学校よりも家庭が先行し、「遊び」に多く使う一方「学び」には使わない傾向が明らかになっていた。
(…(4)-(6)は略…)
3. 教師の養成、免許、採用、研修に関する制度及び実態 略
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