[11/13]第10章 不登校

第10章 不登校

10.1 不登校に関する関連法規・基本指針

10.1.1 不登校に関する基本指針の変遷

不登校は「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義されています。

不登校が注目され始めたのは昭和30年代半ばで、当初は学校に行けない児童生徒の状態は「学校恐怖症」と呼ばれていました。ところが、その後、学校に行けない児童生徒が増加し、教育問題として注目され始め、呼称は「登校拒否」へと変化しました。

昭和60年代頃までは、神経症的な不登校が中心で、登校時間になると頭痛や腹痛になり登校できない葛藤を抱える児童生徒が多く見られました。こうした状況を理解し対応するために、「登校拒否問題への対応について」の中では、「不登校はどの子にも起こりうる」という視点と、「やみくもに登校刺激を与えるのではなく、待つことが大切」ということが強調されました。

一方、その後も不登校の数が増え続けると同時に、不登校の原因や状態像も多様化していくなかで、神経症的な不登校に対しては「待つこと」も必要であるが、ただ「待つ」のみではなく、不登校の児童生徒がどのような状態にあり、どのような支援を必要としているのかを見極め、個々の状況に応じた適切な働きかけや関わりを持つことの重要性が指摘されるようになりました。

「待っていてはいけないケース」として、例えば、いじめから不登校になったケースや、不登校の背景に虐待が隠れているケース、障害発達から生じる二次的な問題に起因する不登校のケースなどが挙げられます。初期対応の遅れから欠席状態が長期化すると、学習の遅れや生活リズムの乱れなども生じて、その回復が困難になる場合も少なくありません。そのため、予兆への対応を含めた初期段階から、段階ごとの対応を整理し、組織的・計画的な支援につながるようにすることの必要性が強調されました。

10.1.2 教育機会確保法 略

10.1.3 不登校児童生徒への支援の方向性 略

10.1.4 支援の目標

不登校児童生徒への支援の目標は、将来、児童生徒が精神的にも経済的にも自立し、豊かな人生を送れるような、社会的自立を果たすことです。そのため、不登校児童生徒への支援においては、学校に登校するという結果のみを目標とするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉え、社会的自立を目指せるように支援を行うことが求められます。このことは、「児童生徒一人一人の個性の発見とよさや可能性の伸長と社会的資質・能力の発達を支えると同時に、自己の幸福追求と社会に受け入れられる自己実現を支える」という生徒指導の目的そのものと重なるものであると言えます。

人が社会で充実した人生を歩んでいくためには、自分と関わる人たちとの関係性を保ちながら、自らの意志と判断で主体的に社会に参画していくことができるようになることが重要です。そのため、ここでいう社会的自立は、依存しないことや支援を受けないということではなく、適切に他者に依存したり、自らが必要な支援を求めたりしながら、社会の中で自己実現していくという意味であると捉えることができます。

したがって、不登校で苦しんでいる児童生徒への支援の第一歩は、将来の社会的自立に向けて、現在の生活の中で、「傷ついた自己肯定感を回復する」、「コミュニケーション力やソーシャルスキルを身に付ける」、「人に上手にSOSを出せる」ようになることを身近で支えることに他なりません。その上で、社会的自立に至る多様な過程を個々の状況に応じてたどることができるように支援することが、次の目標になると考えられます。

(第10章 以下略)

第11章 略

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