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教採面接のための実践的なテーマを幅広く扱います。
この記事では、神奈川県の教員採用試験における、「自己アピール書」の例を示します。オリジナルで書くのが大前提とはいえ、「他の人がどんな感じで書いているのか知りたい」方がほとんどでしょう。ここでは過去の合格者の「自己アピール書」をもとに、参考例を3つ示しながら、いくつかポイントと思われることをまとめます。なお、本記事の内容は令和6年実施試験に基づくものですので、令和7年実施試験では多少変更点もあるかもしれませんので、その前提でお読みください(公式からの最新情報はご自身でよくチェックを!)。
自己アピール書の書式など
神奈川県の教採では、1次試験合格者に対し「面接カード」「自己アピール書」の様式が送付され、2次試験の面接時に提出が求められます。「自己アピール書」については、表面上部に受験区分・受験番号・氏名をかき、以下のような指示に従ってA4全体にアピール文を記入することになります。
1 あなたは今までにどのような活動、学習その他の経験をし、どのような能力があると思いますか。
自らを振り返ってみて、アピールできると思う経験や能力について、
(1) その経験や能力の具体的な内容
(2) その経験や能力を身につけるに至った動機や経過
を、次の枠内に簡潔に記入してください。
なお、論文試験(1次試験で実施され採点は2次試験で、というやつです)のときにあった文字数の指定などはなく、マスなしの23行という形式です。分量は500字〜700字ぐらいが適量かなと思います。いったんパソコン上のテキスト編集ソフトで作成し、「文字数合計を23で割った数」≒「1行あたりの文字数」となるよう、ちょうどいい文字サイズで調整してかきましょう。
裏面には、不祥事防止についての文を記入します(マスなしの8行)。不祥事防止の取り組みを強化する一環として、教採時点でもこうした記述が求められるようになっているようです。今回の記事では、この問いに対する例は割愛します。
2 「学校における不祥事」を防ぐためにあなたが取り組みたいことについて、次の枠内に簡潔に記入してください。
以下、「自己アピール書の趣旨」と、経験等の例示です。
この自己アピール書は、受験者のみなさんに自らの経験や能力等をアピールしてもらうためのものです。
自己アピール書に自己の誇りに思っている経験や能力等を記入することで事前に過去を振り返り、自己をアピールしていただきます。
試験当日、個人面接の中でその内容についてお聞きすることがあります。なお、その経験や能力自体の優劣を評価するものではありませんので、ありのままの自分を表現してください。
また、不祥事を防ぐために取り組みたいことについて考え、簡潔に記入してください。
【経験等の例示】
○ボランティア活動、地域活動、青少年育成活動、自然保護活動、海外援助活動、サークル活動、スポーツ、学校での課外活動などの活動歴
○大学等での研究、自主的な研究、公的資格取得などの学習歴
○民間企業等での職歴
○その他趣味や特技など、どのようなものでも結構です。
「どのようなものでも結構です」と記載はありますが、能力については、これから先も成長できそうか・活躍できそうかという点を重視するはずですし、「動機や経過」を書かせようとしていますので、生まれ持った能力を強調するというよりは、何か努力して獲得したような力を強調すべきと考える方が自然でしょう。
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文例
では、実際の合格者の文面をもとにした例を3つ、コメントとともに紹介します(本質的なことが変わらない程度の改変をしています)。
例1(部活動)
(1) 私は大学の〇〇部で〇〇という立場で練習改善の取り組みを行うことで、様々な人と協働する力を高めました。
(2) 大学2年生のとき、部活動で思うような結果が得られず部員の多くが伸び悩みを感じていました。私は現状を少しでも良くしようと〇〇に立候補し、「強みと課題を共有する」方法で部活動の改善に取り組みました。具体的には、毎回の合奏をもとにリズム・バランスの分析シートを作成したり、週1回のパートリーダーとの打ち合わせで、強みや課題点と思われることをお互い率直に話し合い、翌週の目標を具体的に設定したりしました。また、呼吸法やメンタルトレーニングについては課題とわかっていたものの、学生だけの力では難しかったので、外部の方に講師としてご協力をお願いしました。部員の仲間たちは元々高い意欲があったことに加え、課題とやるべきことが明確になったことで、これまで以上に主体的に練習に取り組むようになりました。こういった取り組みを行ったこともあり、翌年の大会では大学として 5年ぶりの全国大会出場を果たすことができました。多様な意見をまとめ改善策を考え多様な人々と協働する力は、これからの子どもたちにも大切なものだと思います。私は教師として、今までの経験を授業や学級運営に生かし、児童が互いの意見を受け止めながら協働できる環境を作ります。
与えられたお題を前提にすれば、「課題(きっかけ)→工夫→成果」という構造になることが多いと思います。教員採用試験で提出する文章ですので、最後は、現場でどんな教師になりたいか・どんな取り組みをしたいかなど、現場での理想の姿を込めてまとめるのが自然でしょう。
また、経験の時期についてですが、できるだけ直近まで繋がっているものがよいです。大学生が、大学部活動の経験をかくのは直近のものとして良いと思いますが、「高校生の部活動で〜という困難があって〜という成果をあげた。教師になったら〜」という構成だと、「大学生ではなにをやったのか?」と空白を感じ、ちょっと弱い気がします。きっかけは高校生のときでも小学生のときでも良いのですが、書くときは「高校生の部活で〜をした、その経験をきっかけに、大学生では〜に取り組んでいる。教師になってからも〜」のように、あまり大きな空白をつくらず現在とつながる形で書く方がよいと思います。
同じことですが、すでに教育現場で働いている方・社会人経験者は、大学生時代で経験が閉じていると弱いですので、できるだけ現在の働いている経験を踏まえた記述にしましょう。
例2(ボランティア)
(1) 経験・能力の具体的内容
私は特別支援が必要な児童へのスポーツ指導を通じて、個に応じた指導の力を培いました。
(2) 動機・経過
高校1年生のとき、発達障害の弟が楽しそうに通う陸上教室を見たことがきっかけで、「自分もそういう活動で貢献したい」と思い、地域のNPOが運営するスポーツ施設〇〇のボランティアに参加を続けています。そこでは、6〜12歳の児童を対象に、運動の仕方を段階的に分解し、一人ひとりの興味や感覚に合わせて指導法を工夫してます。たとえば多動傾向のある児童には、指示を短く・端的になるように工夫して提示し、活動を 30 秒単位のステップに細分化して成功体験を積み重ねるようにします。また、聴覚過敏の児童にはヘッドフォンを用いて音量を調整し、安心して参加できる環境を整えました。さらに「絵カードを介して意思を伝える」 アプリを学び、言語表出が困難な児童とのコミュニケーション手段を増やしました。こうした取り組みの結果、継続参加率が従来 70%程度だったものが90%以上に向上し、保護者からも「家庭でも自信をもって挑戦する姿が増えた」とのお声をいただきました。
教員になってからも、子ども一人ひとりに合った方法を考え、活動を通じて児童の自己肯定感を高めることを大切にし、個別最適な学びを実践できるようになりたいと思います。
教育業界は、成果を量で示しにくいとよく言われますが、上の「従来 70%程度だったものが90%以上」のように、数値を出している点はとても新鮮に感じ、面接官にも響くかもしれません。無理やり入れる必要はないですが、可能な場合は入れるとよいでしょう。
例3(研究)
(1) 現在の教育心理学のゼミで「協働学習と自己効力感」をテーマに研究を行い、指導効果を科学的に検証する力を身につけました。
(2) 大学3年次での教育実習で、少人数指導の場面に立ち会った際、協働学習を採り入れた班では「できた!」「次はこうしよう」と子ども同士が励まし合う姿が目立つと感じました。この様子に着目し、「協働学習には学力だけでなく『できるかもしれない』という自己効力感を高める作用があるのでは」と仮説を立て、卒業研究として検証することを決意しました。
研究では、大学附属の小学校5年生3クラス(計96名)の協力を得て、理科単元「○○」を1か月間実践しました。前半2週間はA・Bクラスで役割分担型の協働学習、Cクラスで学校の通常指導を行い、後半2週間で条件を入れ替えて全クラスが協働学習を経験できるようにしました。授業前後と3週間後にアンケートを取り、記録映像と合わせて自己効力感に関するデータを集計しました。結果、学習内容や時期に関係なく、協働学習を経験した期間以降に自己効力感が有意に向上することがわかりました。児童の記録には「友だちに説明できた」「役に立ててうれしい」など前向きな記述が増え、協働学習が自信を育てる手がかりになることが示唆されました。実践は学級担任の先生と共有し「来年度の校内研究テーマにとり入れたい」と評価いただき、秋には〇〇学会で発表予定です。
この経験で培った子どもの変容を数量と記述の両面で捉える視点を、今後の授業づくりや校内研修に生かし、根拠に基づく学びの改善ができる教師を目指します。
自己アピール文というと、大学生の方の多くが部活動やアルバイトなど課外あるいは学校外のことを連想するのですが、個人的には、学業でアピールできるならばその方がいいと思います。やや偏見かもしれませんが、一般の就職活動における面接の場面では「学業」と「働くこと」が全くの別物として扱われる場合があるようです(その面接が悪いというよりは、日本の教育システムが「社会」「キャリア」と繋がっていないという課題を示していると捉えるほうが良いかもしれません)。しかし、面接官が校長等のほぼ学校現場の人であり、「子どもの学びを支える人」を選ぶ試験である教員採用試験においては、学業への取り組みを軽視する傾向は少ないはずです。可能なら、大学生は「学業」をアピールした方がいいです。
作成に向けてのポイント2つ
作成にあたって、全体的なポイントを述べておきます。
①パッと見てキーワードがわかるようにする
「自己アピール書」は当日提出するもので、かつ、神奈川県の受験人数はかなり多いことから、面接官の方が「自己アピール書」を受験生一人ひとりしっかり読み込むのは現実的ではありません。面接直前あるいは面接中に資料をチラッとみて、ちょっと気になることがあれば聞いてみよう、ぐらいの補助資料としての位置付けで、たとえるならば「あなたのことが書かれたチラシ」のようなものです。全部読んでもらえるという前提ではなく、特に特徴的なところや聞いてほしいところを「カギカッコ」で強調するなど、パッと見て質問資料として活用しやすいようにしておくと親切です。
②ChatGPTなどの生成AIに必ず通して、文章の質をある程度確保する
今の時代はChatGPTなどの生成AIを誰でも、気軽に(無料でも)利用できる時代ですので、それを前提に、ある程度文章の質を担保しましょう。ちょっと余談ですが、十数年以上前、筆者が大学生時にかいた「自己アピール書」は(当時は一生懸命かいたつもりですが)今読むと、「前後の主張がつながっていない」「結論部分で急に新しいキーワードがでる」など、正直に言って、酷すぎて読んでられません。ただ、それでも不合格にならなかったのは、上述のようにパンフレット的な使い方で、文章の内容自体があまり問題にならなかったからでしょう。
ただし、現在は誰でも生成AIが使える時代で、全受験生の提出する文章レベルは確実に上がっています。事前に準備できるタイプの資料で、これだけの技術がある時代で「文章を書くのが苦手で…」は通用しませんね。「パソコン上でテキストファイルとして作成」→「ChatGPTに読ませて改善策を聞く」のサイクルを繰り返して、自分で読みやすい文章に改善しましょう。プロンプト(命令文)に関して特殊なノウハウは不要で、「以下は教員採用試験で提出する自己PR文の案だけど、読みやすい文章にするためにアドバイスして」など素直に聞くだけで良いです。
以上です!では、頑張ってください💪
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