虐待を受けている子ども、犯罪行為などの不良行為を行なっている子どもを要保護児童と言います。なお、児童福祉法内でいう「児童」とは18歳未満の子どもであることに注意しましょう。
要保護児童がいる場合の対応は次の通りです。
要保護児童を発見した者は、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。ただし、罪を犯した満十四歳以上の児童については、この限りでない。この場合においては、これを家庭裁判所に通告しなければならない。
虐待等の場合は市町村、福祉事務所、児童相談所へ直接通告(もしくは児童委員を介して通告)です。
犯罪を犯した14歳以上の児童の場合は家庭裁判所へ通告です。
(演習)
3題扱います。
(演習1)
次の記述は、児童福祉法の条文からの抜粋である。空欄[ ア ]〜[ ウ ]に当てはまるものを選択肢から選べ。(2015年実施49)
第25条 要保護児童を発見した者は、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは[ ア ]又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは[ ア ]に通告しなければならない。ただし、罪を犯した満[ イ ]以上の児童については、この限りではない。この場合においては、これを[ ウ ]に通告しなければならない。
【アの選択肢】学校、児童相談所
【イの選択肢】14歳、18歳
【ウの選択肢】家庭裁判所、警察署
(解)[ア]児童相談所 [イ]14歳 [ウ]家庭裁判所
続いて児童虐待関係の通知です。常識的にも解けると思います。
(演習2)
「児童虐待防止に向けた学校等における適切な対応の徹底について(通知)」(平成22年1月26日文部科学省)に基づく、学校における児童虐待防止について述べたものとして適当でないものを、次の①〜⑤のうちから一つ選びなさい。(2013年実施4)
①教職員等が協力して、日頃から幼児児童生徒の状況の把握に努めるとともに、幼児児童生徒がいつでも相談できる雰囲気を醸成する。
②児童虐待の疑いがある場合、十分な確証を得てから、児童相談所等の関係機関へ連絡、相談を行う。
③学校の教職員は、児童虐待の早期発見・対応に努める必要がある。
④学校の教職員は、学校生活のみならず、幼児児童生徒の日常生活面について十分な観察、注意を払いながら教育活動をする。
⑤管理職への報告、連絡及び相談を徹底するなど、学校として組織的に取り組むとともに、教育委員会への連絡、または必要に応じて相談を行う。
(解)②
十分な確証がなくても、早期発見のため、連絡・相談を行います。
(演習3)
次の文章は、児童虐待の発見・通告について述べたものである。[ ア ]〜[ エ ]に当てはまる語句を選択肢から選べ。(2012年実施4)
「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」では、学校、児童福祉施設、病院などの団体や、学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師などは、児童虐待を[ ア ]立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならないと定めています。
また、虐待の疑いがある児童生徒を発見したら、速やかに市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは[ イ ]に通告しなければならないと義務づけています。なお、通告は[ ウ ]に仲介してもらってもよいとされています。「児童虐待防止法」は「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者」に[ エ ]を課しており、虐待があったと確証を得ることまで要求しているわけではありません。(出典:「生徒指導提要」平成22年3月文部科学省)
【アの選択肢】発見しやすい、未然防止すべき
【イの選択肢】 教育委員会、児童相談所
【ウの選択肢】 指導主事、民生委員
【エの選択肢】 通告義務、監督義務
(解)[ア]発見しやすい [イ]児童相談所 [ウ]民生委員 [エ]通告義務
[ウ]の民生委員については、民生委員≒児童委員と考えてください。兼ねていることが多いようです。今回はここまでです。