【易しめ解説10】ピアジェの知能の発達4段階説

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ピアジェは認知に焦点を当てて知能の発達段階区分を行いました。

エリクソンの場合は

乳児期

幼児前期・幼児後期

児童期

青年期・成年前期・成年後期・老人期

 

と8段階でしたが、ピアジェの場合、幼児期はひとまとめ、青年期以降はひとまとめとなり

乳児期

幼児期

児童期

青年期(以降)

 

の4段階となっています。ではそれぞれみていきましょう。

1.乳児期…感覚運動期

赤ちゃんの状態ですね。

・ものがどのような感触をもっているかを感覚と運動を通して理解する。

・ものの存在が、動かさなければあり続けることを理解する。例えば箱の中にボールをいれ、箱を開けたときにそのボールが無いと探す動作をするなど。



2.幼児期…前操作期

保育園・幼稚園にいるぐらいのころです。

・「ままごと」などの象徴遊びを行う

・物質にも生命があると考える(アニミズム)。コップが倒れたときに、「コップが疲れた」と考えるなど。

・保存概念の未獲得。水を違う形の容器に移し換えると水の量が変わると思ってしまうなど。

・自己中心性。他人の視点からものごとを考えることができない。

3.児童期…具体的操作期

おおむね小学校入学以降に相当。

・保存概念の獲得。

・脱中心化。他者の立場にたった思考ができる。

4.青年期(以降) …形式的操作期

中学校入学以降に相当。

・抽象的な事柄でも論理的に考察できる。

・仮説演繹的思考ができる。

記憶に残るように、2.幼児期の「前操作期」と3.児童期の「具体的操作期」で何が変化しているのかに特に注目すると良いでしょう。幼児期と児童期での違いは

・保存の概念があるかないか。

→幼児期のときはコップの水の量が変わらないことがまだ理解できない。

・他者の視点で考えることができるか。

→幼児期のときは相手側からみた状況を考えることができない(苦手である)。

では演習してみましょう。



(演習)

次の(演習1)はピアジェの知能の発達段階の復習として大変よい素材です。

(演習1)

ピアジェが提唱した発達段階について、適切ではないものを次の①〜④のうちから選びなさい。(2018年実施42)

①生後2歳くらいまでの時期を「感覚運動期」という。見えないけれどそこに存在しているというような「ものの永続性」を生後間もない赤ちゃんは獲得していないが、この時期を通して次第に獲得されていく。

②2〜7歳くらいの時期を「前操作期」という。この時期の子どもが失敗しがちなものに、「保存課題」がある。同じ量のジュースを違う形の容器に移し替えただけなのに、量が変わったと考えることがある。

③7〜11、12歳くらいの時期を「具体的操作期」という。この時期の子どもは自己中心性が特徴であり、具体的なものについては論理的に操作できるが、抽象的な概念をうまく扱うことができない。

④11、12歳くらい以降の時期を「形式的操作期」という。ある要因を影響するかどうかを決定するために、他の要因を一定にしておいて、一つの要因だけを変化させる方法をとるなど、仮説演繹的(仮説検証的)な思考が可能になる。

(解)③

どの文も時期の名称と対応する年齢はあっている。③内「自己中心性」は「具体的操作期(7〜11,12歳)」その一つ前の「前操作期(2〜7歳)」にみられる特徴。

(演習2)

次の文の[   ]に当てはまる語句として最も適当なものを、次の選択肢の中から選べ。(2011年実施41)
ピアジェは、未分化な幼児期の心性の特徴を[   ]という言葉で表現した。これは、自分と同様に対象物の中にも生命の存在を認め、生物と無生物とを区別しない知覚の特性を指している。
【選択肢】リビドー、ホスピタリズム、プラトー、アニミズム、ユーモア

(解)→アニミズム

リビドーはフロイトやユングが使った性的エネルギーというような意味です。

プラトーは学習理論ででてくる伸び悩みの時期のことです。

(演習3)

ピアジェの発達段階説について述べたものとして最も適切なものを、次の1〜5のうちから選びなさい。(2015年実施42)
1形式的操作期では、二つのコップに同量の水を入れ、一方のコップの水を別の細くて背の高いコップに移しても「二つのコップの水の量は変わらない」と認識できるようになる。
2具体的操作期では、「自転車が夜になって怖いと言っているよ」というと納得して片付けたり、倒れたコップを見て「コップが疲れた」などと言ったりする。
3具体的操作期では、目の前にないものでも論理的に考えられるようになる。抽象的で真に象徴的な思考が可能になり、課題解決が体系的な仮説演繹的思考によってなされるようになる。
4前操作期では、イメージを用いた思考が得意である。「ごっこ遊び」や「ままごと」など身近なものを何かの象徴として好んで遊ぶようになる。
5前操作期では、ボールを見失ったときボールを探すように、表象機能が芽生えボールのイメージが形成されるようになる。

(解)

4が正しい。前操作期(幼児期に対応)はごっこ遊びなどの象徴遊びをよくやります。

1→コップの水が変わらないと認識(保存概念の獲得)できるのは形式的操作期でなく具体的操作期です。小学生ぐらいの児童期の話ですね。

2→具体的操作期(児童期に対応)ではなく、前操作期(幼児期)です。

3→仮説演繹的思考ということでこれは形式的操作期(青年期に対応)です。

5→これは感覚運動期(乳児期に対応)の話です。

今回はここまで!

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